こだわり

「食べたら元気になれる美味しいものをつくりたい」

- そう思うようになったのは、ある奇跡のような出来事のおかげでした。

急逝した父の跡を継ぎ、就農して2~3年の頃でした。

私もよく一緒に遊んでいた幼なじみの弟が交通事故に遭い、意識不明の状態が続いている、との
知らせを受けました。

その後、無事に意識は戻ったものの、記憶が戻らない状態となっていた彼の元へ、
わが家のみかんを持って、お見舞いに行きました。

ご家族から「うちの子は、福田くんのところのみかんしか食べないのよ」と喜んでいただくこと
はできましたが、昔のことを覚えていない彼の姿に涙がこぼれました。

しかし、わが家のみかんを食べた彼は、味覚が何かを呼び覚ましたかのように、少しずつ記憶を
取り戻していったのです。昔よく食べていたみかんの味が、奇跡を起こしたかのようでした。
・・・当時、私は農業を続けることに不安を感じていました。

そんな中でのこの出来事に、私は食べ物のもつ力というものに衝撃を受けました。

そして、「食べたら元気になれる美味しいものをつくりたい」と強く思うようになり、
美味しいものをつくるための勉強が始まりました。

「土づくりが一番大事」と知り、有機肥料に変え、土づくりに必要な菌を殺さないようにと
殺菌剤もやめました。剪定枝のチップ屑を入れ、敷草など色々な努力を重ねました。

ようやく「美味しいものがつくれるようになった」と思ったころ、
あるお客様から手紙が届きました。

「いつも美味しいみかんをありがとうございます。うちの子はみかんを見るなり、そのまま
口へ持って行きました。・・・」というような喜びの声でした。

その時、私はハッとしました。
「子どもたちのためにも、美味しいだけでなく、皮ごと食べられるような安心・安全な
農作物をつくらなくてはいけないんだ」

それから、農薬を完全にやめる決意をしました。

現在では、農薬・化学肥料不使用の栽培を行い、
心から「美味しい」と思えるようなみかんや野菜をつくることが
できるようになっております。